【解決事例/075】医師面談の結果を踏まえて保険会社と交渉をすることで、依頼者の納得のいく期間での治療が行えた事例
依頼者属性 | 性別 | 女性 |
---|---|---|
年代 | 50代 | |
職業 | パート | |
事故態様と相談 | 事故場所 | 大分市 |
事故状況 | 信号待ちで停車中に後続車両に追突された。 | |
相談のタイミング | 事故から約2週間後 | |
相談のきっかけ | 交通事故にあうのが初めてなので、諸々のことを弁護士に依頼したい。 | |
怪我と後遺障害 | 傷病名 | 左第7,8肋骨骨折、右上斜筋不全麻痺 |
自覚症状 | 肋骨部疼痛、複視(ものが二重にみえる) | |
保険会社提示額 | 事前提示 | なし(保険会社が金額を提示する以前に弁護士が介入したため) |
獲得賠償金額 | 損害項目 | 最終受取金額 |
金額 | 約195万円 | |
備考 | 治療費などを含めた賠償総額約435万円 |
相談から解決までの流れ
◆事故からご依頼まで
信号待ちで停車中に後続車に追突され、左第7,8肋骨骨折などのケガを負ったケースです。
事故から約2週間後に相談にみえられ、ご依頼いただくことになりました。
◆治療から症状固定まで
事故後、しばらくの間、整形外科と眼科でリハビリ治療を続けていましたが、保険会社からは、事故から6か月で治療を打ち切りたい旨の連絡がありました。
ご本人は、肋骨の骨折部位については症状はほとんどなくなったので、治療を終了したいという意向でしたが、眼の症状については、あと少し治療を続けたいというご意向でしたので、眼科の主治医と医師面談をし、症状固定の時期について打ち合わせを行いました。医師面談では、依頼者のご希望をお伝えしたうえで、症状の推移と、今後の治療方針をお聞きするなどし、まだ症状固定とせずに、治療を継続するということになりました。この医師面談の結果を、保険会社の担当者に伝えた結果、治療の継続を了承しました。
その後、眼の症状も落ち着いたこともあり、依頼者ご本人と協議をしたうえで、事故から約8か月後に症状固定としました。症状がほとんど回復したこともあり、自賠責保険の後遺障害の認定は非該当という結果でした。
◆示談交渉
症状固定後、保険会社と示談交渉を行いましたが、裁判所基準に近い適正な金額でスムーズに示談をすることができました。
担当弁護士の振返りポイント
保険会社からの打ち切りの打診に対して、医師面談を行うことで、治療を継続することができたケースです。
保険会社は、治療期間中、通常、医療機関に治療費を直接支払いますが、医療費による支出をできるだけ抑えたいことなどから被害者の治療を続けたい意向をあまり考慮することなく、治療費を打ち切ってくることがよくあります。このような場合は、弁護士が、保険会社の担当者と、治療の継続についての交渉を行うことになりますが、この交渉もむやみに行っても効果はなく、ポイントを押さえて交渉を行う必要があります。
まずは、①「症状固定」の意味を踏まえて、適切に交渉を行うことです。保険会社が、治療費の打ち切りを言ってくる理屈は、「症状固定となっているから」です。「症状固定」とは、「傷病の症状が安定し、医学上一般に認められた医療を行っても、その医療効果が期待できなくなった状態」をいいます。したがって、保険会社の治療の打ち切りの打診に対して、「まだ治っていない。」、「まだ治療をしたい。」と言ってもあまり意味はなく、「治療効果が出ている」ことを説明しなければなりません。
次に、②医師の所見を踏まえて交渉を行うということです。被害者や弁護士がいくら症状固定でないと言ったところで、専門的な見地からの所見ではありません。症状固定の判断は、医学的な見地から専門家である医師が行うものなので、医師による所見でないと、保険会社も聞き入れません。したがって、医師面談や医療照会を行い、医師の所見を踏まえて交渉を行うことがポイントです。
さらに、③保険会社の担当者と治療状況や治療プランを共有することもポイントです。保険会社の担当者が嫌がるのが、先が見えない中で、ずるずると治療費を支払い続けることです。保険会社の担当者も、通常よりも、治療期間が長引いている場合は、その理由について、上司に報告をして治療の継続について決裁を得なければいけません。したがって、保険会社の担当者が上司に説明しやすい材料を、こちらで揃えてあげることで、治療の打ち切りがされにくくなります。その材料が、医師面談などを踏まえた症状固定についての意思の所見や今後の治療プランなどです。