【解決事例/042】自賠責保険への後遺障害の手続を行った結果、適正な後遺障害が認定され、保険会社の当初提示額の約6倍の賠償金を受けとることができたケース
依頼者属性 | 性別 | 男性 |
---|---|---|
年代 | 20代 | |
職業 | 会社員 | |
事故態様と相談 | 事故場所 | 大分県中津市 |
事故状況 | バイクに乗って道路を直進中、一時停止標識を無視して道路に侵入してきた四輪車と衝突した。 | |
相談のタイミング | 保険会社から示談金額提示後 | |
相談のきっかけ | 保険会社から提示された示談金額が適正かどうか知りたい。 | |
怪我と後遺障害 | 傷病名 | 鎖骨骨折 |
自覚症状 | 骨折部位の疼痛 | |
後遺障害等級 | 14級9号 | |
保険会社提示額 | 損害項目 | 最終受取金額 |
金額 | 約50万円 | |
備考 | 治療費などを含めた賠償総額約330万円 | |
獲得賠償金額 | 損害項目 | 最終受取金額 |
金額 | 約300万円 | |
備考 | 治療費などを含めた賠償総額約580万円 |
相談から解決までの流れ
バイク乗車中に四輪車と衝突し、鎖骨を骨折したケースです。治療終了後、保険会社から示談金の提示があり、それが妥当かを知りたいということで、相談にみえ、受任に至りました。
相談時に、ケガの内容と現在の症状について聴き取りをしたところ、自賠責保険の後遺障害が認定される可能性がありましたが、保険会社から認定手続について説明されていませんでした。そこで、示談交渉の前に、手続を行うことにしました。
被害者請求の方法で、自賠責保険の後遺障害の認定手続を行ったところ、骨折部位の疼痛について、「局部に神経症状を残すもの」として、自賠責保険の14級9号の後遺障害が認定されました。
後遺障害の認定後、保険会社と賠償金額の示談交渉を行いましたが、逸失利益の算定する際の、①労働能力喪失期間と、②基礎収入の算定方法について争いとなりました。
労働能力喪失期間については、保険会社は、14級9号の労働能力喪失期間は、裁判例でも2年~5年程度の認定がほとんであるとして、5年の期間を主張してきました。これに対し、当方は、被害者に残存する症状は疼痛にとどまらず、肩関節の可動域にも若干の制限が生じていること、また、本件と同様の後遺障害につき、労働能力喪失期間を5年以上で認めている裁判例を提示し、主張を行いました。最終的には、14級9号の労働能力喪失期間としては、裁判所基準でも認められにくい、8年という労働能力喪失期間で合意をすることができました。
また、基礎収入については、保険会社は、被害者の事故前の実収入をベースとする計算方法を主張していましたが、被害者がまだ20代と若年であることを主張した結果、全年齢の平均賃金をベースとした算定方法で算定することとなりました。
その結果、当方の主張に沿った内容での示談で解決することができました。
担当弁護士の振返りポイント(倉橋)
本件のように、治療終了時に、保険会社が自賠責保険の後遺障害の手続について説明をしてくれないことがあります。事故により、何らかの症状がある場合は、後遺障害の認定の可能性について、ご相談されることをお勧めします。
また、本件のように、骨折後の疼痛の後遺障害については、逸失利益について争いになることがあります。保険会社の担当者と、交通事故の示談交渉をほとんど(または全く)行ったことのない被害者の方とでは、適切に交渉をすることは難しいと思います。早期に弁護士に相談したほうが良いでしょう。
※個人が特定されない範囲で内容を加筆修正しています。
- 【解決事例/074】頚椎捻挫の被害者につき、家事従事者としての休業損害が争いになったが、証拠資料を提出するなどし、家事従事者としての休業損害が認められ示談ができた事例
- 【解決事例/073】歯冠破折と捻挫を併発していた症例において,歯冠破折につき後遺症14級が認定された事例
- 【解決事例/071】鎖骨変形障害で12級5号の後遺障害が認定され、逸失利益が争いとなったが紛争処理センターの手続を経て逸失利益が認められた事例
- 【解決事例/070】休業損害,後遺症慰謝料について任意基準の提示から裁判基準に近い金額にて和解を成立させた案件
- 【解決事例/069】受任から約1か月で、裁判所基準に近い適正な示談金額でスピード解決できた事例
- 【解決事例/065】軽微な交通事故でむちうちの損傷を負った被害者が、弁護士の交渉などにより納得のいく治療を行うことができた事例
- 【解決事例/064】カルテ上の治療経過と被害者の愁訴・稼働状況とを結びつけて説明を行い,主婦休損の増額が認められた事案。
- 【解決事例/062】治療期間の延長ができず、早期解決に目標を切り替えた事件
- 【解決事例/059】異議申立てにより併合11級の後遺障害が認定され、紛争処理センターでの手続を取ることにより家事従事者としての休業損害と逸失利益が認められたケース
- 【解決事例/057】併合12級の後遺障害が認定されていた被害者が、弁護士に依頼することにより、早期に適正な賠償金を得ることができたケース
- 【解決事例/056】併合11級が認定された家事従事者につき、家事従事者としての損害が争いになったが、家事従事者としての損害が認められ示談ができたケース
- 【解決事例/041】20代の男性のむち打ちの症状につき、異議申立ての結果、14級9号が認定されたケース
- 【解決事例/039】頸椎捻挫で14級9号が認定された男性につき、弁護士の交渉により示談金が約2倍になったケース
- 【解決事例/038】頚部のむち打ちにつき14級9号が認定された会社役員の事故で、休業損害と逸失利益の支払いにつき争いになったが、訴訟の結果、休業損害と逸失利益が認められたケース