死亡事故の損害賠償

死亡事故の損害賠償

最終更新日2020.4.12(公開日:2020.4.12)
監修者:日本交通法学会正会員 倉橋芳英弁護士

 

1 死亡事故の損害賠償

 

死亡事故の賠償金も適正な金額を貰いましょう!

 皆様の大切なご家族やご友人が交通事故に遭われ、お亡くなりになられてしまった場合、ご遺族の方の悲しみは計り知れないものがあります。お亡くなりになられた被害者の方が被った損害は、相続人であるご遺族が代わりとなって請求するしかありません。

死亡事故の損害賠償額は相当に高額になるため、保険会社は、少しでも支払い金額を少なくしようとしてきます。したがって、保険会社が提案して金額で示談をする前に、交通事故問題に詳しい弁護士に相談することを勧めます。
相続人であるご遺族が加害者や保険会社に請求できる損害賠償は下の4つになります。


2 死亡事故の損害賠償の4分類


分類 項目 内容
 死亡するまでの怪我による損害  救助捜索費、治療関係費、休業損害など
 葬儀費  戒名、読経料、葬儀社への支払いなど
 逸失利益  本人が生きていれば得られたはずの収入
 慰謝料
 被害者および遺族に対する慰謝料

葬儀費

葬儀そのものにかかった費用を始め、49日の法事の費用、仏壇購入費、墓碑建立費が若干認められる場合もありますが、自賠責保険では60万円が上限とされています。一方で裁判所の基準では、130万円~170万円程度まで認められることがあります。

逸失利益

被害者の方が死亡しなかったら得たであろう生涯収入にあたる金額を損害賠償として請求することができます。被害者の方が若かったり、収入が多かった場合には、この死亡による逸失利益は莫大な金額になることがあります。被害者が専業主婦の場合にも、女性労働者の平均賃金をもとに計算した逸失利益を損害賠償として請求することができます。

3 慰謝料

被害者が死亡した場合、相続人であるご遺族は、被害者本人の慰謝料とご遺族の慰謝料を請求することができます。死亡慰謝料も、自賠責保険の基準、任意保険会社の基準、裁判所の基準によって金額が大きく異なりますので注意して確認しておくことが必要です。

葬儀そのものにかかった費用を始め、49日の法事の費用、仏壇購入費、墓碑建立費が若干認められる場合もありますが、自賠責保険では60万円までとされています。一方で弁護士会の基準では、130万円~170万円程度が適切とされております。香典返しなどの費用は認められません。

 

 

弁護士会の基準の慰謝料

ケース 慰謝料金額
一家の支柱の場合 2,700~3,100万円
一家の支柱に準ずる場合 2,400~2,700万円
その他の場合 2,000~2,400万円

 

 

 

自賠責保険の基準の慰謝料

ケース 慰謝料金額
被害者本人 350万円
被害者の父母、配偶者、子供 遺族が1名の場合 550万円
被害者の父母、配偶者、子供 遺族が2名の場合 650万円
被害者の父母、配偶者、子供 遺族が3名以上の場合 750万円

※死亡者に被扶養者がいる場合には、200万円が加算されます。

 

 

任意保険の基準の慰謝料(現在は廃止されている従来の基準)

ケース 慰謝料金額
一家の支柱であった場合 1,450万円
高齢者(65歳以上で一家の支柱でない場合) 1,000万円
18歳未満(有職者を除く) 1,200万円
上記以外(妻・独身男女) 1,300万円

※任意保険の統一基準は廃止され、現在各保険会社が独自に支払い基準を作成しています。

※従来の基準に準じている保険会社では、自賠責保険の基準よりも少し高い金額が採用されていることもあります。