高次脳機能障害とは?定義や症状から診断、治療方法、リハビリ期間まで解説
2020.3.17(最終更新日:2020.3.17)
監修者:日本交通法学会正会員 倉橋芳英弁護士
交通事故で意識がなく、生死の境をさまよった人が意識を取り戻した時、家族は命が助かったことを喜びます。その後の治療が順調に進み、みてすぐにわかる身体障害や視覚・聴覚の感覚障害がないことが確認されると、すっかり回復したものと思ってしまいます。
ところが、日常生活に戻ってみると、外見は事故の前とまったく変わらないのに、ふるまいや様子が事故の前と違っている場合があります。本人は、自分の変化に自覚がない場合もあり、家族や周囲の人は困惑します。このような場合、事故により脳に損傷が起きたことが原因で高次脳機能障害という障害が残っている可能性があります。
ここでは、高次脳機能障害について、症状や治療方法、後遺障害の認定や賠償などについて、ご説明させて頂きます。
1 高次脳機能障害とは
病気や事故などが原因で脳が損傷され、言語・思考・記憶・行為・学習・注意などに機能障害が起きた状態を高次脳機能障害といいます。
脳の機能には、感覚・運動・生命維持機能といった最も基本的なレベルの機能があります。この機能に加えて、人間の脳には、より高いレベルの機能があり、この機能により、次のようなことができています。
「言葉の意味やものの名前を覚え、経験してきたことを蓄積する」
「意識を集中し、持続させる」
「知覚情報から必要なものを選別する」
「ものごとを計画して実行する」
「さまざまな可能性を考え、論理的に決断する」
「感情や行動をコントロールする」
高次脳機能は、このような、脳の機能で説明のつく心の機能(認知機能)全般のことを指します。しかし、認知機能は、どこまでが正常でどこからが異常かを判断することが難しく、異常があることが、外からはわかりにくいことがよくあります。このため、本人や周囲の人が、「何かおかしいな」と感じながらも、それが高次脳機能障害によるものだと気付かずに見過ごされてしまうことも多いのです。高次脳機能障害が、「見えない障害」といわれるのは、このためです。
高次脳機能障害の原因
高次脳機能障害は、約8割が、脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など)が原因で発症するといわれています。そして、約1割が、交通事故などで脳に外傷を負ったことが原因で発症するといわれています。その他にも、脳腫瘍、脳炎、低酸素脳症などの脳の疾患が原因で発症する場合もあります。
認知症との違い
認知症も高次脳機能障害と似たような症状が出ますが、認知症と高次脳機能障害では、次のような違いがあります。 まず、高次脳機能障害が症状の原因となる脳損傷の時期が明らかであるのに対し、認知症では発症の時期を明らかにすることが難しいという違いがあります。 また、高次脳機能障害は発症時の症状がもっとも重く、その後、リハビリなどにより一定程度回復するとされているのに対し、認知症は基本的には症状が進行していく疾患であるとされている点に違いがあります。
2 高次脳機能障害の症状
高次脳機能障害では、損傷した脳の部位によって、次のようなさまざまな症状が出ます。
交通事故で頭部に外傷を負ったあとに、これらの症状がみられる場合は、高次脳機能障害である可能性があります。できるだけ早く、専門の医療機関で検査を行い、適切な治療とリハビリを行っていく必要があります。
①記憶障害
新しい記憶を獲得し、保持して、必要な時に引き出すことができない状態です。頭だけで記憶する「暗記記憶」に問題が起こりがちです。脳損傷に伴う後遺症として、よくみられる症状です。
高次脳機能障害にかかわらず、もの忘れは、誰しも経験をすることです。もの忘れがあっても、自分の記憶力を正しく認識して対策が取れていれば、大きな問題は生じません。高次脳機能障害でも同じで、正しい認識とそれに対する対策を取ることで、日常生活や仕事での支障を減らすことができます。
記憶障害は、脳の視床、前脳基底部、側頭葉内側面(海馬)に損傷を受けたことが原因で起き、次のような症状が出ます。
「さっき言われたことを忘れる」
「人やものの名前、作業手順が覚えられない」
「物をよく置き忘れる」
「何度も同じことを話したり、質問したりする」
「約束を覚えることができない」
「数日前、数週間前のできごとを思い出せない」
「昔のことはよく覚えているのに、新しいことを覚えることができない」
②注意障害
ある特定のものに集中する機能が低下している状態です。また、集中を続けることや注意して必要な情報を選び出すことも苦手になっています。
注意力は、あらゆる精神機能に関わる基本的な働きであるため、注意障害は、高次脳機能障害の症状の全体に関わります。
環境を整え、情報量を調整することで、症状がやわらぐことがあるといわれています。
注意障害は、脳の右半球や広範囲の脳損傷を受けたことが原因で起き、次のような症状が出ます。
「気が散りやすい」
「作業のミスが多い」
「同じ作業を続けることができない」
「複数のこと同時にできない」
「話の内容がころころ変わる」
「話についていけない」
③遂行機能障害
私たちは、日々の生活の中で、目標を設定し、計画を立て、目標に向かって計画を実行し、目標達成に向けて臨機応変に行動するということを行っています。私たちは、このようなことを日頃、あまり意識せずに行っていますが、これは、「遂行機能」といって最も高いレベルの脳機能なのです。
旅行を例にすると、まず旅行先を決め、旅行の計画を立て、旅行のためのさまざまな準備をし、旅行先でのトラブルにより計画を変更したりします。
このようなことは、健常者にとっても難しいことなので、高次脳機能障害を負っている人にとっては、より難しくなります。
遂行機能障害は、脳の前頭葉を損傷したことが原因で、次のような症状が出ます。
「目標を設定できない」
「作業を計画的に行えない」
「間違いを修正したり、計画を変更したりできない」
「物事の優先順位をつけることができない」
「問題に取り組むとき、解決方法がひとつしか思いつかない」
「要点を絞り込めない」
「仕事を効率よく行えない」
「仕事の仕上がりを気にしない」
④社会的行動と情緒の障害
人間は、動物と比べて本能的な衝動を抑えて、感情や行動をコントロールする脳機能が大きく発達しています。事故による外傷で、この感情や行動をコントロールすることが難しくなった状態が社会的行動と情緒の障害です。
また、意欲や動機付けも脳機能が司っていますが、この機能に障害が生じ、やる気がなくなってしまう障害が出ることがあります。
社会的行動と情緒の障害は、脳の前頭葉から側頭葉を損傷したことが原因で、次のような症状が出ます。
「突然怒り出すなど、感情のコントロールができない」
「暴言や暴力を吐く」
「相手の気持ちを思いやることができない」
「すぐに泣きだす」
「態度や行動がこどもっぽくなる」
「欲求を抑えることができない」
「一つのことを始めるとやめられなくなる」
「気持ちが沈みがち」
「自分から何かをしようとしなくなる」
⑤失語症
言語機能に関わる脳の部位を損傷したことで、言葉を扱うことが難しくなった状態です。文字の読み書きや、言葉を聞いたり話したりすることが難しくなります。
失語症は、早期にめざましく回復したあと、ある程度の症状が残り、その後、数か月から数年かけてゆっくりと回復していくといわれています。
失語症は、脳の左半球、前頭葉下部、側頭葉、各回を損傷したことが原因で、次のような症状が出ます。
「滑らかに話せない」
「言葉が出てこない」
「本人はしっかり話しているつもりだが、話の内容が相手に伝わらない」
「相手の話が理解できない」
「質問にうまく答えられない」
「本が読めない」
「文章が書けない」
⑥失行症
道具を使ったり、目的地に行ったりするなどの動作ができなくなった状態です。言われていることはわかるが、動作に移すことができません。
急性期に生じることが多く、その後は改善しやすいといわれています。
失行症は、脳の左半球前頭葉を損傷したことが原因で、次のような症状が出ます。
「はさみやくしなどの日常よく使っていた道具の使い方がわからなくなる」
「お茶の淹れ方がわからなくなる」
「トイレの水の流し方がわからなくなる」
「靴のつま先とかかとを逆に履こうとする」
「動作がぎこちなく、上手くできない」
⑦失認症
ものごとをうまく認識できなくなっている状態です。見たり聞いたりする感覚は働いているが、そうして見たものや聞いた音が何を意味するのかが理解できなくなります。
失認症は、脳の両側後頭葉を損傷したことが原因で、次のような症状が出ます。
「見ているもの、聞いているもの、触っているものが何かわからない」
「物の形(色)がわからない」
「人の顔がわからない」
「遠近感がなくなる」
「時計が読めなくなる」
⑧自己認識の低下
自分が障害を負って、症状が出ていることを認識できなくなっている状態です。脳損傷によって、理解力や記憶力などが低下しているため、自分のいまの状態を正確に理解することや、以前の自分と比べたりすることが難しくなります。
焦って早い段階から無理に病状を理解させようとしては、うまくいかないことが多いようです。少しずつ、根気強くリハビリを続けていくことで、本人の理解もゆっくりと進んでいきます。
自己認識の低下は、前頭葉や頭頂葉を損傷したことが原因で、次のような症状が出ます。
「自分に障害があることを認識できない」
「周囲の人に障害があることを指摘されてもかたくなに認めない」
「リハビリや治療を拒否する」
「仕事や車の運転を以前と同じようにしようとする」
「問題の原因は他人にあると思っている」
⑨半側空間無視
視覚的には見えているのに、視野の右か左の半分の空間を認識できない状態です。
急性期から回復期までに自然回復する場合もあります。
半空間無視は、脳の右半球中心溝より後方(右頭頂葉)を損傷したことが原因で、次のような症状が出ます。
「片側のものに気付かずにぶつかる」
「片側にある物を見落とす」
「食事の時に左半分のおかずに手をつけない」
⑩地誌的障害
見慣れた建物や風景が見えているけどそれが何であるか認識できなかったり、目印となる建物や風景は認識できるけどそこからどう進んでいいか判断できないなどの状態です。脳の損傷で、認識力が低下したり、目印と自分との位置関係をうまく認識できなくなったことなどで起こる症状です。
地誌的障害は、脳の右(両側)側頭葉から後頭葉を損傷したことが原因で、次のような症状が出ます。
「近所で道に迷う」
「自宅でトイレに迷う」
「よく知っている街並みや建物を認識できない」
「道順を思い出せない、覚えられない」
3 高次脳機能障害の診断
高次脳機能障害の診断は、いくつかの方法を組み合わせて行います。脳の画像検査や認知機能の働きを詳しく調べる神経学的検査が中心となりますが、家族が生活の中で気付いたことなども診断の際には重要な情報となります。
高次脳機能障害は、「見えない障害」ともいわれ、症状を把握しづらい障害です。そのため、入院中に損傷部位が特定されて診断が出る場合もありますが、退院後に家族が気付いてから診断が出る場合もあります。
脳の画像検査
脳の損傷を、CT(コンピュータ断層撮影)やMRI(核磁気共鳴画像法)の検査で確認します。また、必要に応じて、SPECT(単一光子放射断層撮影)やPET(陽電子放射断層撮影)の検査で脳の血流状態を画像診断します。
ただし、画像検査だけで全てがわかるわけではありません。脳は、複雑なネットワークで成り立っていて、画像診断で、ネットワーク全体の変化の詳細まではわからないのです。 たとえば、画像検査で前頭葉に損傷が認められないのに、注意障害や遂行機能障害など、前頭葉関連の症状が出る場合があります。
したがって、画像検査だけではなく、神経心理学的検査をしたり、日常の言動の変化などに気付くことも重要となります。
意識障害の確認
急性期の意識障害の程度を確認します。JCS(ジャパン・コーマ・スケール)やGCS(グラスゴー・コーマ・スケール)という基準が使われることが多いです。これらの基準を使い、覚醒の程度を、大分類3段階、小分類3段階で点数評価します。
神経心理学的検査
高次脳機能障害の症状は、それが事故の前からもともとあったその人の個性なのか、脳の損傷による後遺症なのかの判断が容易ではありません。したがって、高次脳機能障害の疑いがある場合には、各症状にあった質問形式やテスト形式の神経心理学的検査を行って確認をします。
しかし、神経心理学的検査だけで後遺脳機能障害を診断できないこともあります。というのも、事故後の検査で正常値が出たとしても、事故の前と比べたら能力が低下していることやその逆の場合もあるからです。したがって、ご家族から得られる「事故前からの変化」が重要な情報となります。
日頃の行動の様子
本人の自覚をもとにした行動記録と、家族の観察記録を見比べて、客観的な判断材料とします。本人が症状に気付いていないことも多く、家族が感じる何気ない違和感が貴重な情報となることがよくあります。
4 高次脳機能障害の治療方法
交通事故で脳を損傷した場合、まずは、医療機関で急性期医療が行われます。急性期医療では、救命救急医療、生命維持治療が中心になります。意識が戻り、全身状態が安定するまで、集中的に治療が行われます。
急性期医療で全員状態が安定したら、次は、回復期医療が行われます。身体機能や損傷を受けた脳の働きを回復させ、問題がない形で日常生活や社会生活を送れるようにすることを目指し、リハビリテーションを開始します。この段階では、医師だけでなく言語聴覚士や作業療法士、臨床心理士などが連携し、一人ひとりの状況と症状、生活に合わせたプランに沿って、リハビリを行っていきます。
リハビリプランの内容は、症状によって異なりますが、大きく分けて以下の3つの訓練を行っていきます。この3つの訓練は、それぞれが補い合っています。状況に応じて、適切に3つの訓練を組み合わせ、配分をしていくことで、良いリハビリを行っていくことができます。
①機能訓練
障害が生じている機能自体を、改善・向上させるための訓練です。障害の内容に応じて、以下に例を挙げたような様々な訓練を行います。
・記憶力が低下している場合には、数字や記号を覚える作業や神経衰弱を行う。
・注意が散漫になっている場合には、書き取りや計算などの作業を集中して行う。
・ものごとを順序立ててできなくなっている場合には、解決方法や計画の立て方を一緒に考える。
・自分の行動をコントロールできなくなっている場合には、何が問題になっていて、これにどう対処するかを一緒に考える(認知行動療法的訓練)。
・言葉がうまく使えなくなっている場合には、言語聴覚士とともに、絵が描かれたカードを使いながらさまざまな言葉を出す訓練、複数の絵カードと文字カードを照合する単語と読解力の訓練、文字を書く訓練、音を確認しながらの音読といった訓練を行う。
・道具の使い方がわからなくなっている場合には、道具を見せ、道具を使う状況、使い方の一部をジェスチャーで見せるなどの手がかりを与えて道具を使う補助をし、間違った使い方をした場合は、フィードバックをして修正する。
・特定のものを認識できなくなっている場合には、物をさまざまな角度から観察したうえで、手に取って触覚性認知も加えて対象を認知する訓練を行う。
・片側の空間を認識できなくなっている場合には、注意できなくなっている側を視覚で探索できるようにする訓練を行う(視覚走査訓練など)。
②代償手段獲得訓練
正常に保たれている機能を有効に使い、障害を受けた機能を補っていくための訓練です。 障害によってできなくなったことを、それ以外のことで補い、脳機能全体が調和するように、暮らし方を変えていきます。 どうしても失われた機能を取り戻すことに努力しがちですが、いまできることを伸ばしていくことで、毎日の生活が困らなくなります。この訓練では、ご家族の協力がとても大事になってきます。
代償手段獲得訓練では、障害の内容に応じて、以下に例を挙げたような様々な訓練を行います。
・記憶力が低下している場合には、こまめにメモを取る習慣をつけたり、スケジュール表を作ったりする。
・実行力が低下している場合には、できるだけ細かく具体的に予定の行動を書き出して整理する。
・感情をうまくコントロールできない場合には、感情の爆発をリセットする方法を身に付ける。
・意欲が低下している場合には、日課や目標などを詳しく書き出したチェックリストを作る。
・言葉がうまく出てこない場合には、コミュニケーションノートなど使ってコミュニケーションを取る。
・道を覚えられない場合には、「何番目の角を右折する」というように道順を言葉で書き出したり、地図に標識や看板を記入する。
③環境の調整
周囲の人の関わり方や生活環境を整えて、高次脳機能障害の障害があっても生活しやすい環境を整えます。日常のちょっとしたことを見直すだけで、状態は改善します。この訓練でも、ご家族や周囲の方の理解と協力がとても大事になります。
環境の調整は、症状に合わせて、以下に例をあげたような見直しをしていきます。
・記憶力が低下している場合には、7秒以内の短文・単語で伝えるようにする。
・注意力が低下している場合には、こまめに確認作業をするように家族がサポートをする。
・ものごとを順序立ててできなくなっている場合は、日常生活の動作や仕事の内容を小さな単位に分解し、単純化して、何をしたら良いかの手がかりを与える。
・意欲が低下している場合には、声をかけて行動を始めるきっかけを与える。
・行動や感情をコントロールできなくなっている場合には、家族は障害が原因であることを理解したうえで、冷静に対応する。
・相手の話していることを理解しにくくなっている場合は、言葉だけでなく、ジェスチャーや絵など、五感をフルに使って、わかりやすく伝えることを心がける。
これら3つの訓練を補い合う形で活用し、機能の回復や生活の改善を目指していきます。そのため、本人、ご家族、医療機関の信頼関係と協力がとても大事になります。
5 高次脳機能障害のリハビリテーション期間
高次脳機能障害のリハビリテーションは、①医学的リハビリテーションプログラム、②生活訓練プログラム、③職能訓練プログラムの3段階で行われます。
厚生労働省が2001年度から2005年度までの5か年計画で実施した高次脳機能障害支援モデル事業では、訓練により改善が見られたケースの74%が6か月以内で、97%が1年以内でした。
そのため、高次脳機能障害のリハビリ期間は、①医学的リハビリプログラムを最大6か月実施し、②種々のサービスを連携して合計1年間のリハビリ訓練が望ましいとされています。 もちろん、症状が軽症の場合や、重症であっても改善がみられる場合は、それぞれの症状に応じたリハビリ期間となります。
6 高次脳機能障害と福祉
急性期を過ぎ、全身状態が落ち着いたら、福祉のサポートを利用するようにしましょう。
高次脳機能障害の診断を受けた人は、精神障害者保険福祉手帳や障害年金を利用できます。また、年齢や健康状態によっては、その他の制度も利用できます。早めにソーシャルワーカーなどに相談をしましょう。
各種手帳の申請
障害者手帳を取得すると、福祉サービスや、一部の税負担の免除、各種料金の減免などの支援を受けることができます。経済的な支援が多く、生活を立て直すうえで大きな助けとなります。
障害者手帳には、「身体障害者手帳」、「療育手帳」、「精神障害者保険福祉手帳」があります。
いずれの手帳も申請先は、市区町村の福祉担当窓口か各地域の指定期間となります。
手帳取得の基準については、各医療機関で医師やソーシャルワーカーに相談できます。
障害年金の申請
高次脳機能障害の診断を受けた人は、障害年金を利用することができます。
脳損傷を発症した時点で年金に加入していることが条件となります。
通常は、初診日から1年6か月後が障害認定日となり、その段階で高次脳機能障害(器質性精神障害)の診断書を提出して申請をします。
受給金額は、人によって異なります。保険料滞納期間がある人は、受給できない場合もあります。
申請先は、国民年金については市区町村の年金担当窓口、厚生年金や共済年金については加入先の保険組合か社会保険事務所となります。
就労支援
退院をしてしばらくすると、仕事への復帰を考える時期がきます。就労支援機関のサービスを利用することで、復職しやすくなります。
高次脳機能障害の方が利用できる就労支援機関には、ハローワーク、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター、障害者職業能力開発校、就労移行支援事務所、就労継続支援事務所があります。 各支援機関では、就労について、相談、準備、職業訓練、職業紹介、職場適応支援、職場生活支援などのサポートを受けることができます。