後遺障害診断を適切に受けたうえで示談交渉を行うことで、示談金額を約48万円から約1524万円(約30倍)に増額した事例
依頼者属性 | 性別 | 男性 |
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年代 | 20代 | |
事故態様と相談 | 事故状況 | 横断歩道を青信号で歩行横断中に,同じく青信号で右折してきた車にはねられる |
相談のタイミング | 保険会社からの示談提示 | |
相談のきっかけ | 保険会社からの示談提示の交渉について | |
怪我と後遺障害 | 傷病名 | 右橈骨遠位端部骨折、右手首廻旋時の疼痛、可動域制限 |
自覚症状 | 右手首廻旋時の疼痛、可動域制限 | |
保険会社提示額 | 事前提示 | 傷害部分のみで約48万円の示談提示 |
獲得賠償金額 | 損害項目 | 最終受取金額 |
金額 | 約1500万円 |
事故の発生
20代男性が,横断歩道を青信号で歩行横断中に,同じく青信号で右折してきた車にはねられるという交通事故に遭いました。
この事故により、右橈骨遠位端部骨折などの怪我を負いました。
相談・依頼のきっかけ
右橈骨遠位端部骨折について、骨癒合は良好でしたが、症状固定後も右手首廻旋時の疼痛、可動域制限が残りました。自覚症状が残存し、相談者も後遺障害診断を受けていたため、後遺障害等級が認定される可能性があったのですが、保険会社からは後遺障害についての話はなく、傷害部分のみで約48万円の示談提示があるという状況でした。
以上のようなこともあり、相談者は、保険会社の言う示談案で示談してよいのかどうか、今後、示談交渉をどのように進めたら良いのか相談するために当事務所にお問い合わせくださいました。
当事務所の活動
1 被害者請求による後遺障害等級認定
示談の前提として後遺障害の等級認定を受ける必要があったため、受任後すぐに被害者請求により後遺障害認定の手続を行いました(後遺障害の等級認定手続には、被害者自らが請求手続を行う被害者請求という方法と相手方任意保険会社が請求手続を行う事前認定と呼ばれる方法があります。この2つの請求方法を比べると、被害者請求による方法が、被害者側が自己に有利な資料を添付して請求できるなど被害者に有利な方法です。)。
被害者請求の結果、上腕部の可動域制限について12級6号の後遺障害等級が認定されました。
2 保険会社との示談交渉
等級認定の結果を受け、保険会社との示談交渉を行いました。
示談交渉では、裁判所基準での賠償額の支払いを求めましたが、保険会社は、交渉の初期の段階では、逸失利益及び後遺障害慰謝料の点については保険会社の基準をもとにした低い金額の提示しか行わなかったため、交渉を重ねました。
交渉の結果、遅延損害金と弁護士費用以外の費目は、ほぼ裁判所基準の金額による提示まで金額を引き上げることができましたが、逸失利益の点についてだけこちらの請求額より約70万円低い金額の提示にとどまりました。
約1500万円という賠償金額全体からすれば、約70万円という金額は大きいものではなかったのですが、当事務所は、示談交渉に際しては、弁護士費用と遅延損害金以外の費目(*)については、裁判所基準以下での示談はしないことを基本方針としているため、裁判所基準での支払を得るべく提訴することにし、その旨を保険会社に伝えました。
その直後、保険会社から示談金の増額提示があり、こちらの請求する金額を満額支払うとの回答を得ることができました。_
*弁護士費用と遅延損害金については、示談の段階で保険会社が支払いを行うことはありません。
解決のポイント(所感)
依頼者が保険会社の対応に疑問を持ち、示談書にサインする前に問い合わせの連絡をしてくれたために、適正金額の賠償金額を得ることができました。保険会社は、後遺障害の等級認定がされる可能性がある事案についても後遺障害診断について十分な説明をせずに低い金額で示談をまとめようとすることがあります。
被害者の方は、交通事故にあうこと自体が初めての方がほとんどで、後遺障害のことなどよくわからないままに、示談をしてしまうことも多々あります。
今回は、依頼者が、示談書にサインをする前に相談に訪れてくれたことが最大のポイントでした。
示談金額の交渉については、裁判所基準以下での示談は行わないという基本方針を守り交渉を行うことにより、結果的に満額の回答を引き出せた点がポイントであったと思います。