【解決事例/071】鎖骨変形障害で12級5号の後遺障害が認定され、逸失利益が争いとなったが紛争処理センターの手続を経て逸失利益が認められた事例

12級5号,バイク,下肢,肩鎖関節亜脱臼

依頼者属性 性別 男性
年代 20代
職業 会社員
事故態様と相談 事故場所 別府市
事故状況 原付バイクで道路を走行中、左折車に巻き込まれ転倒した。
相談のタイミング 事故直後
相談のきっかけ 過失割合や今後の流れについて知りたい。
怪我と後遺障害 傷病名 左肩鎖関節亜脱臼、左足関節及び左膝挫傷
自覚症状 左肩の痛み、可動制限、鎖骨変形
後遺障害等級 12級5号
保険会社提示額 事前提示 なし(保険会社が金額を提示する以前に弁護士が介入したため)
獲得賠償金額 損害項目 最終受取金額
金額 約610万円
備考 治療費などを含めた賠償総額約870万円

相談から解決までの流れ

◆事故からご依頼まで
 原付バイクで道路を走行中、左折車に巻き込まれ転倒し、左肩鎖関節亜脱臼、左足関節捻挫などのケガを負ったケースです。
 事故直後にご相談にみえられ、ご依頼いただくことになりました。

 

◆治療から症状固定まで
 受任後、しばらくの間は、整形外科での通院治療が続きました。その間、依頼者からは、何度か症状固定の時期についての相談がありましたが、その時々での症状の内容・程度、症状の推移、治療内容などをお聴き取りし、症状固定の時期について、慎重に見極め、事故から約7か月後に症状固定となりました。

 

◆後遺障害認定
 依頼者には、症状固定時、右肩痛と鎖骨の変形の症状などが残っていたため、主治医に後遺障害診断書を作成してもらい、自賠責保険に対し、被害者請求の方法で後遺障害の等級認定の申請を行いました。その結果、右肩鎖関節亜脱臼後の右鎖骨の変形障害については、裸体となったとき、変形が明らかにわかる程度のもので捉えられるとして、「鎖骨に著しい変形を残すもの」として、12級5号の後遺障害が認定されました(右肩痛も、この12級5号の認定に含めて評価されました。)。

 

◆示談交渉
 等級認定後、保険会社は、「鎖骨の変形障害が残っても仕事への支障はない」と主張し、逸失利益を認めず、約40万円の提示をしてきました。そこで、①今回の12級5号の認定には右肩痛の症状も含まれての認定であることを主張し、②鎖骨の変形障害で逸失利益が認められた裁判例を示し、逸失利益の支払を求めました。交渉の結果、保険会社は、逸失利益を認め、約220万円まで提示金額を上げてきました。しかし、それでも、まだ増額の余地があったため、交通事故紛争処理センターに和解斡旋を申し立てました。

 

◆交通事故紛争処理センター
 交通事故紛争処理センターの手続では、逸失利益についての当方の主張を意見書として提出しました。その結果、こちらの請求にほぼ沿った形で、紛争処理センターから和解案が提示され、既払金を除いて390万円を支払うという内容で和解が成立しました。(自賠責保険からの支払金224万と合わせて、最終的に614万円の受け取り。過失割合については、争いはなく、当方:相手方=20:80)。

 

担当弁護士の振返りポイント

 鎖骨の変形障害について、逸失利益が争われたケースです。今回の骨の変形障害の他にも、後遺障害の逸失利益性が争われやすい後遺障害がいくつかあります。例えば、外貌醜状(顔のキズなど)、歯牙障害(歯の欠損など)、脾臓の亡失などがあります。これらの後遺障害では、実際に、逸失利益性が否定された裁判例も数多くあり、保険会社もかなり強気に逸失利益の発生を争ってくるため、逸失利益が発生していることについて、しっかりと主張立証をする必要があります。①当該後遺障害に派生して残存している症状についても正確に把握をし、②それらの症状が被害者の仕事にどのような支障を生じさせているか(または、将来、生じさせ得るか)を具体的に主張立証していく必要があります。今回のケースは、この主張立証が功を奏し、逸失利益性が認められました。

 

 また、今回のケースは、交通事故紛争処理センターでの手続で解決をしたという点も特徴的です。訴訟と比べた場合、紛争処理センターは、解決までの期間が相当に早いうえ、最終的な金額も裁判所基準に近い金額となることから、当事務所では、紛争処理センターの手続を利用することも多いです。また、今回のように、訴訟をした場合に、こちらが大きく負ける可能性がある場合は、いきなり訴訟をするのではなく、まずは、紛争処理センターの手続を行うことで、最終的に良い結果で解決できることも多いです。

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