【解決事例/047】新たに撮影した画像資料を添付するなどして異議申立てを行ったところ、12級8号の後遺障害が認定されたケース
依頼者属性 | 性別 | 男性 |
---|---|---|
年代 | 30代 | |
職業 | 会社員 | |
事故態様と相談 | 事故場所 | 大分県杵築市 |
事故状況 | バイクで道路を直進中、コンビニ入ろうとして右折をしてきた対向車と衝突した。 | |
相談のタイミング | 事故から約2年10か月後 | |
相談のきっかけ | 保険会社から症状固定を打診されたため、今後について相談したい。 | |
怪我と後遺障害 | 傷病名 | 右大腿骨骨幹部骨折 |
自覚症状 | 長管骨の変形、右膝痛、下肢の醜状痕(瘢痕)など | |
後遺障害等級 | 併合12級(12級8号、14級5号) | |
保険会社提示額 | 事前提示 | なし(保険会社が金額を提示する以前に弁護士が介入したため) |
獲得賠償金額 | 損害項目 | 最終受取金額 |
金額 | 約2800万円 | |
備考 | 治療費などを含めた賠償総額約5200万円 |
相談から解決までの流れ
バイク走行中に、対向車線から右折してきた自動車に衝突し、大腿骨骨幹部を骨折したケースです。事故後、骨接合の手術が行われましたが、術後の経過があまりよくなく、骨癒合が進まずに治療が長期化していました。事故から約2年10か月が経った頃、保険会社から症状固定の打診を受けたことをきっかけに相談にみえ、受任に至りました。
受任後、まず、症状固定の時期にあるかどうかを検討しました。症状固定についての医師の見解、症状の推移と治療の経過などを検討し、症状固定の時期にあると判断し、事故から約3年後に症状固定としました。
症状固定後、主治医に後遺障害診断書を作成してもらい、自賠責保険に対し、被害者請求の方法で、後遺障害の認定の手続をとったところ、膝の痛みなどについて、「医学的に説明可能な痛みやしびれが持続しているもの」として14級9号の後遺障害が認定され、下肢の醜状痕について、受傷部に「てのひら大以上の瘢痕を残したもの」として14級5号の後遺障害が認定されました。本件では、長管骨の変形障害の疑いもありましたが、この点については、「提出されている画像上、骨折部位は明らかな変形なく骨癒合している」として非該当とされました。
後遺障害の初回請求の認定結果を検討したところ、長管骨の変形障害について、後遺障害の認定の可能性があると考え、異議申立ての手続を行う方針としました。
初回請求の際に提出した症状固定に近い時期の画像資料は、X‐P画像でした。そこで、X‐P画像よりも骨の状態がよくわかるCT画像を提出することとし、CT検査の依頼を行うために医師面談を行いました。医師面談の際、主治医は、医学上は問題なく骨癒合をしているとして、新たにCT検査を行うことに難色を示しましたが、医学上の癒合と自賠責保険の後遺障害で問題となる癒合の違いを説明し、CT検査を行ってもらうことになりました。新たに撮影したCT画像を添付して異議申立てを行ったところ、骨折部の癒合について、「内旋30度以上回旋変形しているもの」として、12級8号の後遺障害が認定されました。
後遺障害の等級認定後、任意保険会社と賠償樹の示談交渉を行いました。本件で12級が認定された変形障害は、労務への支障は限定的であるとして逸失利益が争われやすい後遺障害ですが、この点について、ほぼこちらの主張どおりの金額を保険会社が認めました。その他、慰謝料についても、裁判所基準満額での示談を行うことができました。
担当弁護士の振返りポイント
異議申立てにより、14級から12級に認定が上がったケースです。X‐P画像(レントゲン画像)とCT画像の違いがポイントとなりました。
X‐P画像検査は、X線を使って身体の透過像を撮影する検査です。一方向からの撮影であるため、情報量は限られます。これに対して、CT画像検査は、身体にX線を透過させて輪切りの画像を何枚も撮影する検査です。CT画像検査は、X‐P画像検査よりも情報量が豊富で、画像をつなぎ合わせることで、360度の立体情報も得ることができます。骨の細かな状態をみるには、X‐P画像よりもCT画像の方が格段に優れています。
本件では、骨癒合がなかなか得られなかったという症状の経過やX‐P画像から、骨の変形癒合が疑われましたが、後遺障害の初回請求では、この点については非該当とされました。初回請求では、症状固定に近い時期の画像は、X‐P画像しかなかったため、新たにCT画像を撮影して異議申立てをすることで、変形癒合が認められ、12級8号の後遺障害が認定されました。
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