【解決事例/038】頚部のむち打ちにつき14級9号が認定された会社役員の事故で、休業損害と逸失利益の支払いにつき争いになったが、訴訟の結果、休業損害と逸失利益が認められたケース
依頼者属性 | 性別 | 男性 |
---|---|---|
年代 | 30代 | |
職業 | 会社役員 | |
事故態様と相談 | 事故場所 | 大分市 |
事故状況 | 被害者が右折待ちのため停止していたところ、加害車両に追突された。 | |
相談のタイミング | 約7か月後 | |
相談のきっかけ | 保険会社から治療費の支払いの打切りの話が出始めため、不安に思い、相談にみえられました。 | |
怪我と後遺障害 | 傷病名 | 頚椎捻挫 |
自覚症状 | 肩・頚部の痛み、頚部回旋困難、右上肢痺れ、熟睡困難 | |
後遺障害等級 | 14級9号 | |
保険会社提示額 | 損害項目 | 保険会社提示額 |
金額 | 保険会社の事前提示なし | |
備考 | (保険会社が金額を提示する以前に弁護士が介入したため) | |
獲得賠償金額 | 損害項目 | 最終受取金額 |
金額 | 約700万円 | |
備考 | 治療費等を含む賠償総額は、約800万円 |
相談から解決までの流れ
追突事故にあい、頚部にむち打ちの症状が出たケースです。事故から約7か月後、相手方保険会社から治療費の支払の打切りの話が出始めたことから相談にみえられ受任に至りました。
受任後、相手方保険会社と治療費の支払の継続の交渉を行い、支払期間を延長をしました。その後、主治医の判断を踏まえ、事故から約10か月後に症状固定となりました。
症状固定後は、自賠責保険に対し、被害者請求の方法で後遺障害の等級認定の申請を行いました。その結果、頚部の痛み、右肩関節の痛み、右上肢の痺れなどの症状につき、「局部に神経症状を残すもの」として、14級9号の後遺障害が認定されました。
後遺障害の認定後は、相手方保険会社と賠償額についての示談交渉を行いましたが、相手方保険会社は、依頼者が会社役員であることを理由に、休業損害と逸失利益の支払を拒否してきました(提示額約140万円)。
そこで、交通事故紛争処理センターに和解斡旋の手続を申し立てました。紛争処理センターの手続の中で、相手方保険会社は一定程度の譲歩をしてきましたが、まだ適正な金額には十分ではなかったため、適正な賠償金額の支払いを求め、訴訟を提起しました。
訴訟の中で、依頼者が経営する会社の経営の実態や決算関係の資料を提出し、依頼者の役員報酬の大部分が労務の対価であることや本件事故による減収があることなどを主張立証した結果、休業損害と逸失利益が認められ、当初提示額より500万円以上の増額で和解に至りました。
担当弁護士の振返りポイント(倉橋)
本件のように、被害者が会社役員の場合、保険会社はそのことを理由として休業損害や逸失利益の支払を拒否してくることがよくあります。しかし、役員報酬については労務の対価部分に限り休業損害や逸失利益が認められるというのが裁判例でのルールとなっています。したがって、この点をしっかりと主張立証することで、会社役員の場合でも休業損害や逸失利益が認めれることもあります。会社役員の場合は、収入が高いことも多いため休業損害や逸失利益も高額になります。会社役員の場合は、保険会社との賠償金額が争いになることが多いため、早目にご相談にお見えになることが良い結果につながります。
※個人が特定されない範囲で内容を加筆修正しています。
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