【解決事例/080】単身者であったが家事従事者としての休業損害と逸失利益が認められたケース(後遺障害 併合7級)
事故態様 | センターオーバーした四輪車が対向の二輪車に正面衝突した事故 | |
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事例の特徴 | 家事従事者、休業損害、逸失利益、交通事故紛争処理センター | |
属性 | 女性、79歳、パートタイム | |
症例・受傷部位 | 右側一側下肢多発開放骨折、右側脛骨腓骨開放骨折、右側脛骨高原骨折、右側踵骨骨折、右側大腿骨転子下骨折、右側中足骨骨折 | |
後遺障害等級・死亡事故 | 併合第7級 ・12級7号(股関節可動域制限) ・12級7号(膝関節可動域制限) ・10級11号(足関節可動域制限) ・9級15号(足指可動域制限) ・14級10号(骨折部位の疼痛) ・10級8号(脚長差(短縮障害)) ・12級相当(下肢の瘢痕) |
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主な損害項目 | 受任前 | 受任後 |
休業損害 | 提示なし。 | 約96万円 |
傷害慰謝料 | 約328万円 | |
逸失利益 | 約320万円 | |
後遺傷害慰謝料 | 約1000万円 | |
自賠責保険金 | 1051万円 | |
治療費を除く賠償金総額 | 約1720万円 |
交通事故の状況
依頼者が自動二輪車にて中央線のない道路の左側を走行中、脇見運転をした対向車がセンターオーバーして正面から衝突した事故
ご依頼内容
後遺障害の認定や賠償金の示談交渉を弁護士に依頼したいということで、ご依頼を受けることになりました。
対応内容と成果
後遺障害診断書を作成していただくにあたっては、病院に同行し、弁護士同席のもとで可動域の測定等を行ってもらいました。その結果、併合7級という後遺障害が認定されました。
後遺障害認定後、示談交渉に入りましたが、保険会社は、過失割合と家事従事者としての休業損害・逸失利益について争ってきました。保険会社は、過失割合については、依頼者が左端を走行していなかったとして、依頼者にも30%の過失があると主張してきました。また、保険会社は、依頼者は一人暮らしであるから、家事従事者であるとは認められないとして、休業損害と逸失利益はゼロであると主張してきました
保険会社との当方の主張の隔たりが大きかったので、交渉での示談は困難であると考え、交通事故紛争処理センターに和解斡旋を申し立てました。
紛争処理センターでは、過失割合については、警察の作成した刑事記録をもとに、依頼者に過失はないことを主張しました。
また、家事従事者性については、依頼者は一人暮らしではあったのですが、近所に住む共働きの娘家族の家を頻繁に訪れ、娘家族の家事や育児を分担していました。この事情を、依頼者のご家族にもご協力いただき、詳細に説明する資料を作成し、証拠として提出しました。
このような主張立証の結果、過失割合については依頼者の過失はなし、家事従事者性についても依頼者は家事従事者であるという内容での和解斡旋案を出していただき、この内容で示談が成立しました。
総括・コメント
1つ目のポイントは、後遺障害診断書作成にあたり、弁護士が可動域測定の場に同席をしたことです。可動域制限の後遺障害は認定基準(可動域の角度)が明確に決まっているので、その基準に1度でも足りないと後遺障害が認定されません。そのため、可動域を正確に測定することがとても重要になります。ただ、実際に可動域を測定する医師は、そのような重要性を意識せずに測定をするので、大雑把に測定しがちです。そのため、可動域制限の後遺障害の場合、同席が可能な限り可動域の測定の場に同行し、医師に可動域測定の重要性を説明したうえで測定していただくようにしています。本件は、このような同席が、良い認定結果に結びつきました。
2つ目のポイントは、一人暮らし(単身者)の依頼者に家事従事者性が認められた点です。家事従事者とは、「他人のために家事をする者」なので、通常、一人暮らしの者は家事従事者とは認められません。ただ、本件の依頼者は、一人暮らしではあったのですが、近所に住む共働きの娘家族の家を頻繁に訪れ、娘家族の家事や育児を分担してたという事情があったので、この点を詳細に立証することで、一人暮らし(単身者)であるにもかかわらず家事従事者性を認めてもらうことができました。
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